2018夏_vol45
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北海道の最○端旅びとよ的日本にある〝国境の町〟日本の“端っこ”案内“旅びと”が目に留めた景色や場所、もの、人に注目するコラム。今回は、島国・日本ならではの景色を持つ“端っこ”にフォーカス。日本の“端っこ”に行ってみたこと  ぷっさ さ しはあるだろうか。端っこと言っても、最北端や最南端だけではない。そのままの意味での端だ。日本は海に囲まれた島国であるため、その端は得てして海沿いの岬や港であり、たいていそこには美しい景色が伴って存在する。旅をするうえで、絶景は欠かせないものだ。そんな雄大な眺望を一人占めできるような、端っこの魅力に迫っていきたい。日本の端と聞いて、誰もがまず思い浮かべるのは、離島だろう。日本全国の離島の数は、大小すべて含めると6800以上にもなると言われており、“国境の島”と呼ばれる離島も少なくない。確かに、地図上での日本の最東西南北端は、4箇所とも離島だ。その中の一つ、日本最西端の地である沖縄県の与よ那国島・西いき崎は、全国で最後に夕日が沈む場所として知られており、晴れている日中には110㎞ほどしか離れていない台湾を見ることができる。一生に一度は行ってみたいと考えていたが、実際に訪ねると何度でも来たくなるような素晴らしい眺めだ。また昨年、内閣府は「特定有人国境離島地域」として国から指定を受けた島々をPRする「日本の国境に行こう!!」プロジェクトを開始した。北海道から鹿児島県まで、15地域71島のなぐにじまりざ釜ぷん山までは約50㎞と近く、日が暮れる観光振興に、大々的に力を注ぎ始めているのだ。そのプロジェクトに指定されている島の一つ、長崎県の対つま馬には、韓国展望所がある。この島は九州から約132㎞の距離があるものの、韓国・と向こう岸の綺麗な夜景が見られるほどだ。展望所自体のデザインも韓国にある建物がモチーフとなっており、ここが異国と隣り合わせだということを強く感じさせてくれる。今度は北に目を向けてみよう。北海道の最北部にある稚わ内市は、「最北のまち」として知られている。なかでも宗谷岬は、“日本最北端の地の碑”があることで有名だ。稚内市には他にも、日本最北の駅・JR宗谷本線稚内駅や、日本最北の空港・稚内空港がある。宗谷岬の近くには「食堂最北端」という名前の食堂も存在し、ここが日本の果ての地なのだということを実感する。また、同じく北海道の根室市にある納の沙布岬は、離島を除いた日本の最東端である。根室市のキャッチコピーっかない「朝日にいちばん近い街」の通り、日本で一番初めに朝日を見られる岬であり、元日には初日の出「納沙布岬初日詣」を見ようと多くの人々が訪れるという。日本で最も北にある都道府県の北海道に、最北端と最東端の町があるのは面白い。今回は、有名な日本の端を取り上げた。しかし、言うなれば日本の海沿いは、そのほとんどが“端っこ”である。そこから望む美しい水平線や、空と海がどこまでも続く景色は、私たちの心を掴んで離さない。日本という国の端っこに立って、海の向こうに思いを馳せる。すると、新しい何かが見えてくるかもしれない。11

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