2018秋_vol46
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薫にふがごとく今盛りなり” ほ “あをによし寧なら楽の京師は咲く花の 「奈良の都は花が美しく照り映えるように今が真っ盛りである」という奈良を詠った万葉集の一節である。「あをによし(青丹よし)」はかつてこの地で産出していた顔料の青土(あおに)に由来し、奈良を形容する枕詞。1300年もの歴史が息づく奈良は、豊かな自然と共に独自の文化が発展し、古代ロマンを感じさせる場所が今も多く残っている。県内には東大寺や春日大社、唐招提寺といった世界遺産をはじめ、国宝・重要文化財が点在。一方で、現代の要素を取り入れた施設や店舗が自然と調和し、新たな魅力を生み出している。奈良の旧市街地「ならまち」もそうした場所の一つ。奈良駅にほど近く、花街の面影を残すエリアや多くの寺院が存在しながら、最近ではおしゃれなカフェやレストランなどもひしめき、細い路地を歩いているとおもわずタイムスリップしたかのような、どこかノスタルジックな気分になる。奈良市から少し足を延ばすと、紅葉の名所として知られる寺社も多い。今の時期は特に、そうした場所を巡りながら季節を感じるのもいいだろう。奈良と聞いて、まず何を思い浮かべるだろうか。歴史ある神社仏閣、鹿…といわゆる見どころはあれど、最近では新たに注目を集めているスポットも。季節の風景と共に、奈良の魅力を紹介したい。写真提供:一般財団法人奈良県ビジターズビューロー創建から2度の焼失により、鎌倉と江戸時代に再建された大仏殿。像高約15mの大きさを誇る大仏さまは圧巻。東大寺奈良の大仏さま奈良時代、聖武天皇の勅願により建立された華厳宗大本山の寺院。境内には、盧舎那仏(るしゃなぶつ)坐像が安置されている大仏殿や転害門、法華堂の他、鎌倉時代復興の代表作である南大門、鐘楼、江戸時代再建の二月堂など数多くの国宝が見られる。1998年には「古都奈良の文化財」として世界遺産にも登録された。10月には秋の祭りが催される。data奈良県奈良市雑司町406-1 ☎︎ 0742-22-5511大仏殿・法華堂(三月堂)・戒壇堂 7:30~17:30(4~10月)【アクセス】市内循環バス「大仏殿春日大社前」から徒歩約5分04特集1あをによし奈良 今昔を辿る

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