2018冬_vol47
19/24

   ふるさと秩父が一年で一番熱く燃える日。それが12月3日〝秩父夜祭〟である。去年ユネスコ無形文化財遺産にも登録され、秩父盆地はさらに盛り上がりを見せている。真冬の夜空を吹き飛ばすような威勢のいい屋台囃子に乗って、2台の笠鉾と、4台の屋台が街中を曳き廻される。夜になると〝動く陽明門〟と言われる山車に、たくさんの提灯がつけられて、人波の中をゆっくり進んで行く。クライマックスは〝団子坂〟と呼ばれる急坂。引き手の力を一つに合わせ、一気に引き上げる。それを鼓舞するように花火が次から次へと打ち上がり夜空を焦がしていく。祭りの花形は〝囃子手〟。山車に各町内、4人から5人が乗って「ほーりゃーぃ」という独特な掛け声で山車の周りの人達の心と力を一つにする指揮者のようなものであろうか。一生に一度しか乗れないため、秩父の祭りを愛する男達は、いつか自分も囃子手になりたい!と夢を描いている。私もその中の一人であったが、秩父を離れ東京に出てしまったために、もはや叶わぬものと思っていた。しかし祭り好きには変わりがなく、毎年、夜祭の日は仕事を入れず、一兵卒として祭りに参加していた。それがなんと今年、町内の皆様のお認めを頂き『囃子手』になれることになった。秩父では〝神様になる〟と言われている。晴れ舞台、世界の平和を願って、大役を務めたい。子供の頃からの大きな夢が叶う時がやって来た。子供の頃からの夢神様になる撮影:林家たい平林家たい平1964年、埼玉県秩父市生まれ。武蔵野美術大学卒業後、林家こん平に入門。2004年からNTV「笑点」のメンバーとなり、お茶の間で人気に。2008年、芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。2016年、NTV『24時間テレビ39愛は地球を救う』でチャリティマラソンランナーに抜擢されるなどTV出演も多数。今後の落語界を担う、今最も注目を浴びる落語家。林家たい平のVol.2121

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る