Vol.50
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柔らかい質感が人肌に最も近いとされ、古来から生活道具や武具などに使われてきた鹿革。江戸時代、上原勇七がその鹿革に漆付けする独自の技法を創案したことが「甲州印伝」のはじまりと言われている。印伝は「印度伝来」から来ており、南蛮貿易が盛んな17世紀に伝わったインド産の装飾革に由来する。勇七が創業した「印い傳屋」は、日  事仕 は一子相伝とされ門外不出だった家本の革工芸で唯一、印伝技法を今もなお受け継いでいる専門店。かつて伝の秘法だが、現在は甲州印伝普及のため広く公開され、1987年んでんやには伝統的工芸品として認定を受けた。印傳屋は、そうした伝統的な技法を守り伝えながら、時代に沿った新たな印伝づくりに日夜励んでいる。製作の工程は、染色から荒断ち、柄付け、裁断・縫製、仕上げに至るまですべて、熟練の職人達による手作り。「とんぼ」「小桜」「菖蒲」など日本の美を象った模様は200種類以上に及ぶ。甲府本店では、タイプも模様も豊富な商品の中から好みを選ぶことができる。匠の技が光る逸品を手に取り、甲州印伝の魅力を直に感じてみてはいかがだろうか。 ニッポンの手山梨・甲州印伝400余年の伝統を継承する革工芸バッグから巾着袋、財布、名刺入れといった小物まで多種多様。甲州印伝はこれからも進化し続ける。職人が鹿革に漆で模様を刷り込む印伝の代表的な技法「漆付け」を施しているところ。【最寄りのホテル】ホテルルートイン山梨中央(総客室数167室)印傳屋 甲府本店(2階 印傳博物館)山梨県甲府市中央3-11-15☎055-233-110010:00~18:00無休(年末年始を除く)https://www.inden-ya.co.jp/18

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